超音波検診について

マンモグラフィと超音波どちらの検査の方が疑問に思われる方も多くいらっしゃるので超音波検診について書きたいと思います。

 

超音波検診についてはJ-Startという研究で報告されています。40歳代の受診者でマンモグラフィ単独群(MMG群)とマンモグラフィ+超音波群(MMG+US群)に分けて検討した研究です。

 

感度(乳がんである方が検査で陽性と出る確率)はMMG単独群とMMG+US群で77.0%、91.1%でした。

特異度(乳がんではない方が検査で陰性と出る確率)は91.4%と87.7%でした。

また、乳がん発見数は0.33%から0.5%へ上昇し、中間期癌(検診を受けてから次の検診までに発見された乳がん)は35例から18例へ減少しました。

要精検率は8.8%から12.6%へ上昇しました。

 

超音波を追加すると乳がんの発見率、感度が上がり、中間期癌が減少しましたが要精検率が上昇するというデメリットも見られました。

 

さらに、2021年8月にJ-Startの第2報が報告されました。

高濃度乳房では検診マンモグラフィ感度が低下する傾向があります。宮城県と福井県でのデータによると感度は、極めて高濃度33.3〜51.1%、不均一高濃度68.3〜68.5%、乳腺散在78.9〜79.2%、脂肪性90.7〜100%でした。(2018年版乳癌診療ガイドラインから抜粋)

 

第2報では高濃度群(高濃度と不均一高濃度)と非高濃度群(乳腺散在と脂肪性)に分けて検討されました。

 

MMG+US群でのMMGの感度は高濃度群で55%、非高濃度群で70%でした。USを追加すると高濃度群で17例、非高濃度群で7例の乳がんが見つかり感度は両群とも93%へ上昇しました。MMG単独群では、高濃度群で69%、非高濃度群で61%でした。

 

40歳代では高濃度でも非高濃度でも超音波を追加することで感度上昇が期待できる結果でした。また、以上の結果から高濃度乳房が問題ではなくマンモグラフィ検診での偽陰性が問題であり、超音波はマンモグラフィ検診の弱点である40歳代女性での感度低下を補う有力な方法であると述べられています。

 

超音波を追加するとより精度が高くなり、マンモグラフィでわかりにくい乳がんを発見する可能性が高くなります。

文京区乳がん検診は3月31日までですが検診としてはマンモグラフィのみで超音波は追加になります。ご希望の方は追加して検診を行うことができますのでご予約時にお伝えください。